パワハラの賠償リスク
- office138

- 2021年1月10日
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Q:部下が起こしたパワハラ。会社にも責任が発生しますか?
地方の営業所にて、課長のA氏が、パワハラ行為をしたとして社長の私宛に従業員から内容証明が届きました。どうやら、その従業員はA氏から日常的にパワハラを受けて精神疾患にかかったので慰謝料を払えとの内容です。この場合、会社や社長の私にも責任が及ぶのでしょうか?
A:会社や社長にも責任が発生します。パワハラが発生した場合、迅速かつ適切な対応を行うことで、訴訟にまで発展しないよう賠償リスクを回避しましょう。また、今後のためにパワハラが発生しない社内体制を整備すべきです。

1. 迅速かつ適切な対応により賠償リスクを回避
放置すると訴訟に発展する可能性があります。訴訟に発展すれば、ほぼ間違いなく使用者責任等の賠償責任が発生します。
そのような賠償リスクを回避するためには、下記のような迅速かつ適切な対応をとるべきです。

2. パワハラが発生しない社内体制の整備
パワハラが発生し一時的に研修を実施したり加害者の処分を発表しても、その後なにもしなければ社内環境は元に戻ってしまいパワハラが再発するかもしれません。長期的にパワハラが発生しない社内体制をつくっていくのが望ましいでしょう。

3. パワハラ防止法と賠償リスク
パワハラ防止法とは、改正労働施策総合推進法の通称です。 パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が、企業にはじめて義務付けられました。 2019年5月、パワハラ防止法が成立し、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されます。
このパワハラ防止法において、企業の体制(パワハラを防止する社内体制)整備義務が定められました。よって、体制が未整備の状態でパワハラが発生すれば、会社等に賠償責任が発生します。

これらのリスクのうち、使用者責任(民法715条1項)のリスクが一番怖いリスクです。この使用者責任の要件は緩く、被害者側に有利(会社に不利)なものです。従業員のパワハラ被害が明らかで会社がパワハラ防止に無関心だった場合、ほぼ間違いなく損害賠償責任が会社にも発生します。




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