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地震に対する企業責任は?

  • 執筆者の写真: office138
    office138
  • 2021年1月29日
  • 読了時間: 3分

精神疾患の労務トラブル
地震に対する企業責任は?

Q:南海トラフ地震発生の可能性は70~80%と言われていますが、地震発生時に従業員が死傷した際、企業の責任は発生しますか?





A:企業の管理責任が問われる可能性があります。東日本大震災においても安全配慮義務違反として数千万円の高額賠償訴訟につながった事例が多数あります。

(1)東日本大震災以降、企業の責任は重くなった

 東日本大震災以前は、地震・津波に対する企業責任は極めて限定的でした。労災認定における厚生労働省の見解も「天災は業務起因性がない(仕事と無関係)ので労災認定はされない」とされていました。


 しかし、東日本大震災以降は、厚生労働省の見解が「地震が原因の死傷は業務災害である」と180度かわってしまいました。さらに、当該大震災における訴訟案件においては「大地震の後に来る津波が予見可能なものであり、労働者の避難などにおいて、企業は管理責任を負う」として高額の賠償責任が問われるケースも出てきました。


(2)将来の地震の可能性は、70%~80%である

 南海トラフは、過去平均88.2年間隔で発生しています。近年では、昭和南海地震(1946年)で既に75年が経過しています。


 30年以内にM8~M9の南海トラフ地震が発生する確率は、70%~80%と分析されています(政府地震調査研究推進本部より)

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※出所:政府地震調査研究推進本部ホームページより


(3)日和幼稚園判決に見る企業責任

 東日本大震災発生の直後、日和幼稚園は園児をバス2台で帰宅させ、地震で園児5人が死亡しました。同園の災害対策マニュアルでは「地震の震度が高い場合は、全員を保護者のお迎えを待って引き渡すようにする」と定めていましたが職員のほとんどがその内容を知らず実行されませんでした。結果、約6,000万円の賠償請求判決が下されました。


 この日和幼稚園の反省すべき点は、「災害対策マニュアルが形がい化」してしまったことです。

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(4)企業がすべき最低限の災害対策とは

 日和幼稚園判決とは逆に、七十七銀行判決では企業に責任なしの判決が出ています。この七十七銀行も多数の死者を出してしまいました。しかし、災害対策マニュアルどおりに対応したことで「結果回避義務を尽くしたため企業責任なし」と認められたのです。


 これらの裁判例から学ぶべき企業に求められる最低限レベルの安全配慮義務は、「適正なマニュアルを策定し、必要に応じ改善し、従業員が災害発生時にマニュアルどおりに行動できるように訓練を繰り返す」ことです。


(5)企業が加入すべき使用者賠償責任保険

 いくら、マニュアルを策定して訓練を十分に行っても安全管理義務違反を100%回避することは現実的には難しいでしょう。


 そのため、災害が発生したことを考慮して、先ず災害補償規程を地震に対応できるように整備します。さらに、使用者賠償責任保険には加入しておくべきでしょう。注意すべきは、地震や津波などの天災に対応した保険であることです。


 また、当店はプロ代理店です。企業の状況やリスクを確認したうえで最適な保険設計を提案します。保険は値段だけで選ぶものではなく、万が一のリスクに対応するように設計すべきです。上記のようなケースを含め、必要な補償を洗い出し、補償内容を丁寧にご説明させていただきます。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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